webclap:お礼 ダテサナver.
先ほど届けられた書状を開くと、華の香りがした。
流麗な文字が人柄を現しているようで、内容を読む前に笑顔がこぼれた。
改めて内容に目を通す。
あちらはもう大分寒さが厳しいらしい。
こちらはまだ火鉢が必要なほど寒いわけではない。こうして障子を開けていても、冷たい風よりも暖かい日差しが勝っているお陰で心地よい。
もう少しすれば雪も降り出すだろうと、綴られたそのすぐ後に「その前に逢いに行く」と続けられていた。
そして、政宗の名前と花押。
本当に近況だけの手紙だった。それだけでも、心になにか暖かいものが湧き上るのを感じた。
「お元気そうでござるな」
くすりと笑って、幸村も返事を書こうと文机に向かった。
実はそんなに筆を取るのは好きではなかった。
それでも、この手紙にはなにかを返したくなった。
書き出しはどうしようか。公的なものではないからあまり固くならないように。
でも、風流を解する政宗に、馬鹿にされない程度にはまともに書きたい。
それはとても難しく思えた。
筆を取って、香を焚き染めた半紙の上に静止させたまま、幸村は唸った。
そのとき、庭の方から佐助の声が聞こえてきて、幸村は顔を上げる。
「旦那〜。客だよ〜」
ふわりと風に乗って香ったのは、政宗の手紙からか、それとも…。
幸村は瞬間跳ね上がった鼓動に、筆をおいた。
佐助の声は、幸村に知らせるのが嫌そうに響いた。
幸村はそれに笑って、ゆっくりと立ち上がった。
返事は直接することにしよう。まずは、「ありがとうございます」から。
end


お礼をテーマに。政宗、字、上手いらしいし(笑)
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