06: 東方司令部屋上 ◆連作1
雨が降りそうな天気だった。
オレは、東方司令部の屋上に出て空を見上げる。
低い雲が垂れ込める空は頭を押さえつけられるようで、息が詰まりそうだ。
風も吹いてきている。前髪を散らされてオレは思わず目を瞑った。
そろそろここから旅立とうかと、そんなことを考える。
資料室の本はまだまだ読み終えてないものがあるが、それはまたの機会に。
オレたちの旅は足を止めたらそこで終わる。
目的も果たせないまま、終わりたくはない。
オレは大きく伸びをして、広い屋上を見渡した。
先ほど立ち寄った司令部には、今日も今日とて大佐はいなかった。
午後になって姿を消したとは有能な副官のお言葉だった。
…気になる一言と冷気のおまけもついていたが。
まあそれはさておき、屋上にも大佐の姿はない。
もう司令部内は探しまわったし、他の面子も探すのに駆りだされているはずだからここは任せても大丈夫だろう。
オレは、眼下に広がるイーストシティを見下ろした。
「毎度毎度探す身にもなれっての」
だが、探すことは本当は苦ではない。
見つけたときに見せる、しまった、という顔とそれから少しだけ嬉しそうな顔を見ることができるから。
オレは機械鎧の付け根に鈍い痛みを感じた。
「雨降りそうだな」
空を見上げてオレは大佐を探すべく、イーストシティへと向かうために屋上の出口へと向かった。